同友会ニュース−活動報告
鳥取同友会第6回定時総会開催
第1期中期ビジョンの取り組みがスタート
鳥取県中小企業家同友会第6回定時総会が4月23日(木)米子コンベンションセンターで66名が参加して開催されました。定時総会では2014年に向けた鳥取同友会のあるべき姿を求めた第1期中期ビジョンが採択され、1年目の第一歩がスタートしました。
又、記念講演には東京大学名誉教授の大田 堯先生をお招きし、「人が生きる経営」~共に生き、共に育つ~をテーマにご講演を頂き、奥の深い学びをいただきました。
《記念講演まとめ》 2009.4.23
『人が生きる経営』 ~共に生き、共に育つ~
<講師> 東京大学 名誉教授 大田 堯 氏(おおた たかし)
中小企業家同友会理念に通じる、「共に生き、共に育つ」という考え方は、以下の二つのキーワードと相通じるところがある。
一つ目は、「憧れ」である。ナチス・ドイツ統治下のワルシャワゲットーで、ユダヤ人孤児の孤児院を運営していたヤヌシュ・コルチャックが言っていたように、「魂」を与える(植えつける)ことはできない、与えることができるのは「憧れ(=探求)」のみである。いまの世の中は、この「憧れ」が足りていない。一人ひとりの欲望がそれぞれ肥大化し、他者との関わりの少ない自分本位の孤独な生活を送る人々が多い。個人主義が利己主義を生み、失望の時代に突入しているのである。
二つ目は、「セーフティネット」である。アメリカ合衆国第44代大統領であるバラク・フセイン・オバマ・ジュニアが、今起こっている世界的な経済危機の原因として、セーフティネットをかけておく力量に欠けていた点を挙げていることに共感する。日本においても、制度上のセーフティネットはいくらかあるが、普段の生活の中での人間関係(関わり合い)から自然に作られる魂のセーフティネット(ねんごろ)が少なくなっている。
世界中のすべての人が幸せであるという「憧れ」へのレールに乗るために必要な「魂(生命)」のポイントが三つある。
一つ目は、「違いを認め合うこと」である。自然な生命体は、同じDNAを持っている確立はほぼ0%である。自分とは違う他人を受け容れられるようになれば、差別の心もなくなり、基本的人権の尊重も容易である。
二つ目は、「自ら変わること」である。人間は、呼吸や食事以外に情報を取り入れて変わる(学習する)ことができる。「学習すること」=「生存すること」であり、そもそも人間が持っている学習能力の、向上を促進・補助するのが「教育」である。
三つ目は、「関わること」である。従業員さん、家族に対し正直になり、信頼感を得ることが大事である。納得(共感)してもらってから、自分の考えに同意してもらうのである。
中小企業家はアーティストである。「憧れ」へのレールに乗り、前進するようしっかりと舵を取る。「魂」の三つのポイントを肝に銘じ、すべての人々がその持ち味に応じて社会的に意味のある出番を保証されている状態(「魂・生命体」の完全雇用)を目指して欲しい、と91歳の人生の大先輩とは思えぬ、最後まで元気な講演でした。
例会グループ 渡部 正人